実践地域
飯豊町(山形県飯豊町)

2013年1月9日

飯豊町(山形県飯豊町)の実践地域概要

実施主体:飯豊町、対象里山林:山形県飯豊町中津川財産区有林 11,368ha


 山形県飯豊地域では、約12,000ha の財産区有林をもつ中津川地区において、ナラ枯れの急速な拡大と過疎化等の地域の課題を受け、健全な里山林を再生するための整備と広葉樹材及び里山空間の多様な活用を一体的に推進することにより、地域経済の再生を図る取り組みを行っています。
 同地区の財産区有林は、約6割がブナ・ミズナラを中心とした広葉樹林です。中津川財産区はもともと14 の村が合併した中津川村を前身としています。里山林は、伝統的には薪炭林→用材林→山菜・キノコ山と循環的に利用され住民の暮らしと地域経済を支えてきました。しかし時代の変化とともに利用が低下し大木化したところにナラ枯れが広がりました。中津川地区では、山の資源を新たなかたちで活用し地域の産業振興を図ろうと、住民出資で立ち上げた2つの会社が稼働しています。「中津川バイオマス株式会社」は地元産広葉樹材を使ったペレット・オガ粉の製造販売(平成21 年度工場稼働開始)、「やまと林産株式会社」は地元産オガ粉を使ったシイタケ菌床栽培を行っています。

 初年度(平成22 年度)は、上記のような地域の特徴を踏まえ、人材育成の一環として木質バイオマス活用に関する研修会を開催したほか、財産区有林の資源活用と地域の将来について全戸聞き取り調査を行い、改めて地域の現状と森林資源活用に関する住民の意識を確認しました。
 平成23年度から24年度にかけて、ナラ枯れ材でも活用できるナメコ新品種の導入により各世帯管理の里山林を活用した原木栽培について学び、着手しました。また、東日本大震災の影響を受け中津川地域に菌床資材や燃料資材としての需要が急増し、増産体制をひきつつ持続可能な活用について改めて検討することとなりました。

 今後は、「里山林を拠り所とした地域経済の再構築(地域経営)」を目標に、「1.ナラ枯れの影響を受けた森林の再生、健全な里山林の育成と持続的な資源管理」と「2.広葉樹の特性を活かした木質バイオマスの活用と、地場産業・地域雇用の創出」に取組むことを方針として位置づけました。広葉樹バイオマスの菌床資材や燃料としての活用を、地域会社を軸に事業化していくことで、地域産業の一層の振興を図り雇用を創出し、若者が定住できる地域基盤とコミュニティの再生を目指しています。同時に、計画的な伐採と更新により健康な森林の育成と持続的な資源管理を行い、情勢に応じた計画の見直しなど柔軟に対応しつつ、里山を拠り所とした地域経済の再構築を図ろうとしています。