里山林保全活用指針作りのための参考事例集

竹林整備と産品開発

◆主体名(活動場所)
福岡県八女市、立花バンブー株式会社(福岡県八女市)
URL:立花バンブー株式会社 http://www.tbamboo.com/
  福岡県八女市 竹対策の取り組み http://www.city.yame.fukuoka.jp/sec/k22/banbtop2.html

◆事例の概要
 タケノコ等の生産をしていた竹林の管理面積、生産量が減少したため、竹林の管理と活用を目的に様々な産品開発、プログラム提供を実施。オーナー制度、竹粉活用の学校給食用食器をはじめとする新たな活用方法、雇用の創出、経済活性化を含めた総合的な取組みを行っている。

◆取組内容
 福岡県八女市は、森林面積31,757haのうち、竹林2,461haと竹林の割合が高い。旧立花町地区を中心に、タケノコ生産が盛んであったが、管理面積、生産量共に減少し、放置竹林が課題となっていた。そこで、旧立花町の頃から、竹林を活用した「“かぐや姫さがし”の里づくり計画」を開始、八女市の竹林整備・活用の計画として引き続き推進している。
(1)交流と整備
 八女市は、福岡市をはじめ都市部住民向けに竹林オーナー制度を実施。宿泊入浴施設や道の駅の商品券などの特典をつけて誘導し、290区画が稼働している。オーナーは所有者と5年契約を結び、例えば、1区画250~400平方メートル、借地料4,000円~10,000円を支払う。
 市はこのほか、竹林に活用できる作業道等整備事業、特用林産物造成事業(福岡県特用林産基盤整備事業)を紹介・斡旋している。また、建設業者が竹林の伐採とチップ化を事業化しており、竹チップは二次製品を製造する事業者は引き取られる。
(2)産品化
 さらに、旧立花町では、整備した竹林のバイオマスを活用するため民間企業と連携し、竹繊維と植物由来生分解性樹脂を使用した竹食器を開発、立花地区の学校給食食器として試験導入後、本格導入し、東京、福岡などでも採用が始まっている。現在、市内の事業者が出資して立ち上げた(株)バンブーテクノにより、竹食器の原料となる樹脂ペレット製造工場の立ち上げに向け準備を進めている。
 第三セクターとして設立した立花バンブー株式会社では、竹炭・竹酢液と二次製品を製造している。この他、竹チップを原料とした土壌改良材・堆肥製造を事業化しており、竹粉の食品化、竹繊維の産業利用、農業利用等について調査研究を重ねている。
 ローテクの分野では、技術者の掘り起こしを兼ねて竹細工講座や竹ギター製作講座など開き、竹細工の産業化を目指している。また、市内の様々な産品をインターネット通販で販売を開始している。
 これらの取組により、竹材の有効活用による経済活性化と雇用創出、交流促進、放置竹林の整備、経済活性化を推進している。

◆実施体制・仕組み
 八女市林業振興課が中心となり、国、県、市の事業を活用しながら統合的に事業を推進している。そこに、第三セクター(立花バンブー株式会社)、地域内外の事業者(食器メーカー、道の駅、地域事業者、建設会社等)、市民、竹林オーナーなどが加わり、参加と交流により連携・推進を図っている。また、平成22年9月に八女市と国立大学法人九州工業大学で包括的連携協定を結び、(株)バンブーテクノと連携しながら市内の中学校跡施設を活用して竹資源利活用拠点施設の開設を予定しており、技術・人材・情報を集積して竹の高度利用の技術移転センターとしての構築を目指している。

◆成果
 先行している立花地区では平成12年まで、竹林面積が増える一方、管理面積やタケノコの生産量は激減していたが、平成7年に立花バンブー株式会社設立、平成17年に「“かぐや姫さがし”の里づくり計画」策定等を経て、平成17年の調査では、管理面積、タケノコ生産量ともに増えている。立花バンブー株式会社は、年間約10万本の竹を処理し、製品化している。合併によって、立花地区の取り組みが新市(八女市)の取組みとして位置づけられ、他の地区にも広がりを見せている。


学校給食に導入される竹食器。LCA評価によるCO2排出量抑制

給食に利用されている
竹で作った高級楽器(ギター、バイオリン、チェロ)
竹炭、竹酢液の農業利用によりブランド化された竹炭米

竹林整備とチップ化

竹堆肥

竹林オーナー制度組織体系図

写真:八女市ホームページより
図表:福岡県竹林オーナー制度手引きより(http://ffrec.pref.fukuoka.lg.jp/publica/pdf/chikurin.pdf