林野庁補助事業「森林総合利用推進事業」では、里山林の整備と利活用、地域の自立的・継続的な取組みに向けての指針を作成しました。この参考事例集は、里山林等の資源を有効かつ持続的に利活用するための方策等の観点から参考となる具体的な取組事例を紹介します。
【1.全国の多様な活用事例集】
【2.「先人の知恵に学ぶ」持続的な資源管理事例集】
【3.自立的・継続的取組の仕組みをもつ地域事例】
【1.全国の多様な活用事例集(リンク)】
里山林の保全・整備活動によって創出された環境や資源を活用することで継続的に利活用が期待できる事例を全国から収集し、資源類型の側面と活用類型の側面から分類整理しました。各地域の特徴に応じ参照ください。(全57事例)
【木材・竹材(炭含む)】 | 【林産物(木材・竹・炭除く)】 | 【空間活用・公共的機能】 |
1.薪 2.炭 3.チップ 4.ペレット 5.粉 6.キノコ栽培 7.竹 8.用材 9.新素材開発 10.その他 |
11.素材利用 (繊維・葉・樹皮等) 12.塗料 13.食用 (食材・薬草・林床栽培等) 14.その他 |
15.生物多様性 16.文化的景観 17.セラピー(医) 18.教育(保育・学校) 19.遊び(レクリエーション) |
【2.「先人の知恵に学ぶ」持続的な資源管理事例集】
伝統的或いは独自の手法や技術によって持続的な資源管理と生業(なりわい)としての利活用を自立的継続的に行っている個人・組織を取材訪問しました。継続的に利用するための資源管理の技術について掲載した事例を参考にしていただくだけでなく、このような視点をもってそれぞれの地域で伝統的な技術や知恵を丁寧に紡ぎ直すきっかけになれば幸いです。
事例 | 情報源、取材先 |
マツタケ(アカマツ山) | ・長野県 藤原儀兵衛氏 |
トチノキ | ・琉球大学 谷村真吾教授 ・兵庫県 百合國夫氏 |
しいたけ原木林(コナラ・クヌギ) | ・福島県三春町 武田繁氏・ふくしま中央森林組合 都路事業所 |
菊炭原木林(クヌギ) | ・兵庫県川西市黒川 今西勝氏 |
枝物生産(花木) | ・長野県松川 小椋幸宏氏 |
(ヒ)サカキ生産~定年後の多角的里山利用 | ・石川県珠洲市 前智氏、前克子氏 |
山菜(林床栽培) | ・福島県飯舘村 菅野昌基氏 |
落ち葉堆肥 | ・埼玉県三芳町 三富落ち葉野菜研究グループ 島田 喜昭氏 |
【3.自立的・継続的取組の仕組みをもつ地域事例】
里山林等の資源を有効かつ持続的に利活用するための方策等の観点から参考となる具体的な取組事例を、3つのタイプに分けて解説しています(平成22年度作成)。
【木材・エネルギー・特用林産物を活用した生業創出型】 | ||
視点 | タイトル | 実施主体(活動場所) |
木材活用 | 消費者のニーズに応じた工房の運営 | きまま工房・木楽里(埼玉県飯能市) |
木質エネルギー活用 | 林地残材搬出の仕組み | 土佐の森救援隊(高知県) |
薪宅配システムによる木質エネルギー普及 | 株式会社DLD(長野県、山梨県) | |
特用林産物活用 | 未利用資源“葉っぱ”の商品化 | 株式会社いろどり(徳島県上勝町) |
竹林整備と産品開発 | 立花町、立花バンブー株式会社(福岡県八女市) | |
【人材育成や交流活動による里山文化創出型】 | ||
交流促進 | 都市住民との連携・交流が紡ぐ山里文化の継承 | NPO法人かみえちご山里ファンクラブ(新潟県上越市) |
里山整備の民間資金創出 | 西条・山と水の環境機構(広島県東広島市) | |
環境教育、人材育成 | 整備活動団体育成のしくみづくり | 秦野市、はだの里地里山保全再生活動団体等連絡協議会(神奈川県秦野市) |
企業との協働による、里山林の環境教育プログラムへの活用と事業化 | 財団法人KEEP協会(山梨県北杜市) | |
【森林多様性等に配慮した里山景観保全型】 | ||
生物多様性保全、生態系保全 | 野生生物を指標とした里山林整備の推進 | NPO法人グラウンドワーク西鬼怒(栃木県宇都宮市、全国) |
景観保全 | 和牛放牧による緩衝地帯の整備と獣害の防止、牧歌的景観の再生 | 白王里山再生プロジェクト(NPO法人おうみ木質バイオマス利用研究会、近江八幡市白王町自治会、近江八幡市白王町農事改良組合)(滋賀県近江八幡市) |
森林療法 | 森林の癒しの効果を事業化 | 信濃町森林療法研究会「ひとときの会」、信濃町役場ほか(長野県信濃町) |